チルゼパチドの副作用|マンジャロ・ゼップバウンド(2026)

本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、専門医による診療・診断・治療の代わりとはなりません。健康に関する判断は必ず医療従事者にご相談ください。
結論
チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド)の副作用を解説。吐き気・下痢・嘔吐・便秘など消化器症状、続く期間、膵炎など重大な副作用、セマグルチドとの違い、個人輸入の注意まで。
結論(要点): チルゼパチドで最も多い副作用は消化器症状で、吐き気・下痢・嘔吐・便秘・腹痛です。多くは軽度で、増量時に強くなりがちですが数週間で和らぐ傾向があります。まれに急性膵炎・胆のう障害・重度の胃内容排出遅延など重大な副作用が起こり、その場合は速やかな受診が必要です。
チルゼパチドは成分名(分子そのもの)で、イーライリリーが2つのブランド名で販売しています —— マンジャロ(2型糖尿病の治療薬)とゼップバウンド(肥満症の体重管理・肥満に伴う睡眠時無呼吸)。セマグルチドと違い、チルゼパチドは二重作動薬で、GLP-1 だけでなく GIP と GLP-1 の2つの消化管ホルモン受容体に作用します。
両ブランドは同じ分子なので副作用のプロファイルは同じで、違いは用量と適応です。本ページは成分単位のハブ記事です。ブランド別の詳細はマンジャロの副作用・ゼップバウンドの副作用、薬剤クラス全体はGLP-1の副作用まとめをご覧ください。日本ではマンジャロが2型糖尿病の治療薬として承認されています。肥満症目的の使用やゼップバウンドの国内での取り扱いは、PMDA・添付文書で確認してください(自由診療で扱われる場合があります)。
他のインクレチン薬と同様、チルゼパチドも主に胃の内容が出ていく速さを遅くすること、脳の食欲中枢に働くことで効果を発揮します。よくある副作用が消化器系に集中するのは、この作用機序そのものが理由です。
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チルゼパチドのよくある副作用(消化器症状)
プラセボ対照試験では、消化器系の副作用が最も多く報告され、明確に用量依存性を示しました。肥満試験(SURMOUNT)は糖尿病試験(SURPASS)より高用量を用いるため、上限の発現率が高くなり、範囲で示されます。
FDA 添付文書によると、よくある副作用(おおむね5%以上)は用量帯ごとに次の範囲です。
(出典:FDA マンジャロ・ゼップバウンド添付文書。個人差が大きいです。)
チルゼパチド試験のシステマティックレビュー・メタ解析では、吐き気 20.4%(対照 10.5%)、下痢 16.2%(8.6%)、嘔吐 9.1%(4.9%)でした。重要なのは、多くの消化器症状が増量期に現れ、用量が安定すると和らぐ点です。
吐き気(悪心)
吐き気は最も多い副作用です。開始後や増量後の最初の数日に強くなり、体が慣れると落ち着きます。少量をこまめに食べる、ゆっくり食べて満腹を感じたらすぐ止める、あっさりした低脂肪の食事を選ぶ、食事とは別のタイミングで水分をとる、が有効です。脂っこい揚げ物や甘すぎるものは悪化させがちです。(詳しくはGLP-1の吐き気対策。)
下痢・嘔吐・便秘
下痢と嘔吐は吐き気ほど多くありませんが、脱水を招きます。チルゼパチドは喉の渇きや食欲も抑えるため、水分不足に陥りやすい点に注意が必要です。水分を保てないほどの嘔吐・下痢が続く場合は主治医に相談を。便秘も同じく胃腸の動きが遅くなることから生じ、食物繊維・水分・運動で改善することが多いですが、強い腹痛・膨満・嘔吐を伴う便秘は腸閉塞のサインのことがあり、受診が必要です。
その他のよくある症状
げっぷ・胸やけ・ガス・注射部位反応(発赤やかゆみ)、めまい・脱毛も報告されます。脱毛は薬の直接作用というより急激な体重減少によるものとされ、通常は一時的です。
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副作用はいつまで続く?
多くの人にとって、よくある消化器症状は一時的です。症状は新しい用量の開始から数日で始まり、2〜4週目にピーク、用量が安定する6〜8週目ごろに和らぐ傾向があります。副作用は用量変更の時期に集中するため、ゆっくり段階的に増量することが最も効果的な対策で、添付文書が低い開始用量(週1回2.5 mg)から始める漸増を設けている理由です。
数週間たっても症状が強い場合や、想定より体重が急に減っている場合は、主治医に相談するサインです。用量を今の段階で長めに維持したり、減量したりすることがあります。自己判断で用量を変えないでください。

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用量と副作用:なぜ「ゆっくり増量」なのか
チルゼパチドの副作用は強い用量依存性があり、ゼップバウンドの減量用量で糖尿病用量より吐き気が多いのも同じ理由です。だからいきなり治療用量から始めず、段階的に漸増(週1回2.5 mgを4週間から)します。忍容性を最も左右するのは増量の速さであり、「我慢強さ」ではありません。つらい段階があれば、医師が増量ペースを緩めることができます —— これは医療判断であり、自己決定ではありません。
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重大な副作用と警告
以下は頻度は低いものの重要で、チルゼパチドが処方薬で医師の管理下に置かれる理由です。
急性膵炎
添付文書は急性膵炎が起こりうると警告しています。典型的な兆候は、強く持続する腹痛(多くは上腹部、背中に放散することも)で、嘔吐を伴う場合も伴わない場合もあります。服用を中止し速やかに受診してください。膵炎と確定した場合は再開しません。
胆のう障害・胆石
添付文書は胆石症(胆石)を含む急性胆のう障害を警告しており、手術が必要になることもあります。兆候は右上腹部の痛み・発熱・皮膚や白目の黄染(黄疸)・灰白色便などです。
胃内容排出遅延・胃不全麻痺・誤嚥のリスク
チルゼパチドは設計上、胃の排出を遅くしますが、一部の人ではこれが問題になります。添付文書は慎重投与を求め、胃不全麻痺(ガストロパレーシス)などの重度の消化管疾患では検討されていません。関連して、食べ物が胃に残ることで全身麻酔・鎮静時の誤嚥というまれなリスクがあります。手術や鎮静を伴う処置の前には、チルゼパチド使用中であることを必ず医療者に伝えてください。
枠組み警告:甲状腺C細胞腫瘍
チルゼパチドは、げっ歯類の実験結果に基づき FDA の最も強い枠組み警告(Boxed Warning)として甲状腺C細胞腫瘍を記載しています。ヒトに当てはまるかは不明です。甲状腺髄様がん(MTC)または多発性内分泌腺腫症2型(MEN 2)の本人歴・家族歴がある人には禁忌です。**首のしこり・嚥下困難・息切れ・持続する嗄声(させい)**があれば報告してください。
低血糖・腎障害・その他
チルゼパチド単独では低血糖リスクは低めですが、インスリンやスルホニル尿素薬との併用で急に高くなります(医師が用量を調整することがあります)。重い嘔吐・下痢は脱水と急性腎障害につながることがあります。添付文書は過敏症・アレルギー反応、2型糖尿病での糖尿病網膜症悪化の可能性(定期的な眼科検査を)、さらに初回投与や各増量のころに経口避妊薬の効果を下げる可能性(バリア法の併用や切り替えを推奨)にも触れています。

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受診の目安:チルゼパチド レッドフラグ表
| 症状・危険サイン | 考えられること | 対応 |
|---|---|---|
| 強く持続する腹痛(背中に放散することも)、± 嘔吐 | 急性膵炎 | 中止して緊急受診 |
| 右上腹部痛・発熱・黄疸・灰白色便 | 胆のう障害・胆石 | 速やかに主治医へ連絡 |
| 嘔吐・下痢が続き水分が保てない/尿が少ない・めまい | 脱水 → 急性腎障害の可能性 | 主治医へ連絡、重ければ受診 |
| 膨満・腹痛・嘔吐を伴う強い便秘 | 腸閉塞・イレウスの可能性 | 医療機関で評価 |
| 首のしこり・嚥下困難・嗄声・息切れ | 甲状腺の警告サイン | 主治医へ連絡 |
| 震え・発汗・混乱・動悸(特にインスリン/SU薬併用時) | 低血糖 | 低血糖に対処し主治医へ |
| 発疹・顔や唇・喉の腫れ・呼吸困難 | 重いアレルギー反応 | 救急要請 |
迷ったら主治医または救急に連絡を。この表は目安であり、専門家の判断に代わるものではありません。
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チルゼパチド vs セマグルチドの副作用:どう違う?
チルゼパチド(二重 GIP/GLP-1)とセマグルチド(GLP-1 単独)は、消化器の副作用プロファイルはおおむね同じです。どちらも胃排出を遅らせ食欲を抑えるためです。多くの人が気にするのは「どちらが飲み(打ち)やすいか」でしょう。
| チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド) | セマグルチド(オゼンピック/ウゴービ) | |
|---|---|---|
| 作用ホルモン | GIP + GLP-1(二重) | GLP-1 のみ |
| よくある症状 | 吐き気・下痢・嘔吐・便秘 | 吐き気・嘔吐・下痢・便秘 |
| 平均減量(最高用量) | 最大 約22.5%(SURMOUNT-1, 15 mg) | 最大 約15%(STEP, ウゴービ) |
| 枠組み警告 | 甲状腺C細胞腫瘍 | 甲状腺C細胞腫瘍 |
直接比較したSURMOUNT-5 試験では、チルゼパチドのほうがセマグルチドより平均減量が大きくなりました(約 20% 対 14%)。注目すべきは、治療を中止するほど強い消化器副作用は、むしろセマグルチド(5.6%)のほうがチルゼパチド(2.7%)より少し多く報告された点です —— 「減量が大きい=忍容性が悪い」ではありませんでした。ただし忍容性は個人差と増量の速さに大きく左右されます。選び方の全体像はセマグルチド vs チルゼパチド比較をご覧ください。
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個人輸入・調剤(compounded)チルゼパチドの注意
品質が管理されているのは、承認ブランドのマンジャロ・ゼップバウンドだけです。2023〜2024年の供給不足時、米国では「調剤(compounded)」チルゼパチドが広く売られましたが、状況は変わりました。FDA はチルゼパチドの供給不足解消を宣言し、大量調剤への裁量的容認は 2025年初頭に終了、コピー品の調剤は原則認められなくなりました。FDA は調剤チルゼパチドに関して数百件の有害事象報告を受け、その多くが多回量バイアルの自己計量による用量ミスで、入院が必要な例もありました。調剤品は安全性・有効性・品質について FDA の審査を受けていません。日本でも個人輸入や自由診療の非承認ルートで入手する前に、必ず有資格の医療者に相談してください。
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副作用を軽くする工夫
- ゆっくり進める。 漸増スケジュールに従い、自己判断で早く増量しない。
- 少量・低脂肪の食事をこまめにとり、満腹を感じたら止める。
- こまめに水分をとる。特に嘔吐・下痢があるとき。
- 脂っこい・揚げ物・甘すぎる・加工食品を控える(吐き気を悪化させる)。
- 食物繊維+運動で便秘に対処。
- たんぱく質と緩やかな減量を心がけ、筋肉と皮膚を守る。
- 症状・用量・食事を記録し、次の受診で医師に見せる。
- 危険サインはすぐ報告。「様子見」で放置しない。
チルゼパチドの副作用は特定の日や用量に集中するため、「いつ・何を感じ・いつ打ち・何を食べたか」を毎日記録すると、診察がぐっと有意義になります。Havit アプリは、まさにこの記録を手間なくできるように作られています。用量・食事・体調を記録し、自分のパターンを可視化しましょう。(医療機器ではなく記録の相棒です。判断は必ず主治医に。)

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よくある質問
1. チルゼパチドの主な副作用は? 消化器症状で、吐き気・下痢・嘔吐・便秘・腹痛です。FDA 添付文書では吐き気が最も多く(用量により約12〜29%)、多くの消化器症状は増量期に現れ、その後和らぎます。
2. 副作用はいつまで続きますか? 多くは一時的です。新しい用量の開始から数日で始まり、2〜4週目にピーク、6〜8週目ごろに和らぐ傾向です。ゆっくり増量すると強さも期間も抑えられます。
3. マンジャロとゼップバウンドの副作用は同じ? はい。同じ分子(チルゼパチド)なのでプロファイルは1つです。違いは用量と用途で、ゼップバウンドは減量用に漸増するため消化器症状が範囲の上限で報告されやすく、マンジャロは2型糖尿病の用量です。
4. チルゼパチドはセマグルチドより副作用が少ない? プロファイルは同じです。SURMOUNT-5 の直接比較ではチルゼパチドの減量が大きく、治療中止に至る強い消化器副作用はむしろセマグルチドで少し多く報告されました。忍容性は個人差と増量の速さ次第です。
5. 注意すべき重大な副作用は? 急性膵炎(強い持続的腹痛)、胆のう障害・胆石、重度の胃内容排出遅延や腸閉塞、脱水による腎障害、低血糖(特にインスリンやSU薬併用時)、重いアレルギー反応です。速やかな受診を。
6. なぜ吐き気が起こるの? 二重 GIP/GLP-1 作動薬として胃の排出を遅らせ、脳の食欲中枢に働くため、食べ物が胃に長くとどまり満腹感が強まるからです。特に開始直後や増量直後に感じやすくなります。
7. 調剤(個人輸入)チルゼパチドは安全? 品質が管理されるのは承認ブランドのマンジャロ・ゼップバウンドだけです。FDA は供給不足の解消を宣言し、2025年にコピー品の調剤を原則終了しました。背景には用量ミスを含む数百件の有害事象報告があります。調剤品は FDA の審査を受けておらず、有資格の医療者に相談してください。
8. 手術前に医師へ伝えるべき? はい。胃の排出を遅らせるため、麻酔時に誤嚥のまれなリスクがあります。手術や鎮静の前に使用を伝え、タイミングの助言を受けてください。
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参考文献
- FDA — ZEPBOUND(チルゼパチド)添付文書(Prescribing Information). https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2025/217806s031lbl.pdf
- FDA — MOUNJARO(チルゼパチド)添付文書(Prescribing Information). https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2022/215866s000lbl.pdf
- Jastreboff AM ほか — Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity(SURMOUNT-1). NEJM 2022. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2206038
- Aronne LJ ほか — Tirzepatide as Compared with Semaglutide for the Treatment of Obesity(SURMOUNT-5). NEJM 2025. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40353578/
- Mayo Clinic — Tirzepatide(subcutaneous route): 説明・副作用・用量. https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/tirzepatide-subcutaneous-route/description/drg-20534045
- システマティックレビュー・メタ解析 — Tirzepatide-Induced Gastrointestinal Manifestations. PMC10614464. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10614464/
- FDA — FDA Clarifies Policies for Compounders as National GLP-1 Supply Begins to Stabilize. https://www.fda.gov/drugs/drug-alerts-and-statements/fda-clarifies-policies-compounders-national-glp-1-supply-begins-stabilize
- PMDA(医薬品医療機器総合機構) — マンジャロ皮下注 添付文書情報. https://www.pmda.go.jp/
上記の医学的記載は、引用した FDA チルゼパチド添付文書・NEJM 試験・Mayo Clinic・FDA 発表(2026年半ば時点)と照合済みです。添付文書は随時更新されます。最新情報は主治医と公式の添付文書でご確認ください。
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関連記事
チルゼパチドのよくある副作用(消化器症状)
| 副作用 | 報告された発現率(チルゼパチド) | 備考 |
|---|---|---|
| 吐き気(悪心) | 約 12〜29% | 最も多い;肥満用量(ゼップバウンド)で最大 |
| 下痢 | 約 12〜23% | 開始時・増量期に多い |
| 嘔吐 | 約 5〜13% | 吐き気より少ないが脱水に注意 |
| 便秘 | 約 6〜17% | 胃腸の動きが遅くなるため |
| 腹痛 | 約 5〜10% | 強く持続する場合は下記の膵炎を参照 |
| 消化不良 | 約 5〜8% | げっぷ・逆流を伴うことも |
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