GLP-1の副作用|オゼンピック・ウゴービの吐き気や注意点【2026】

本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、専門医による診療・診断・治療の代わりとはなりません。健康に関する判断は必ず医療従事者にご相談ください。
結論
GLP-1の副作用を解説。吐き気・嘔吐・便秘などよくある症状から、膵炎や胆のう障害など重い副作用、続く期間、受診の目安まで。FDA・添付文書に基づき解説。
結論(要約): GLP-1で最も多い副作用は吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛といった消化器症状です。多くは軽度で、服用開始時や増量時に出やすく、数週間で和らぐ傾向があります。まれに膵炎・胆のう障害・重い胃排出遅延などの重大な副作用があり、その場合は速やかな受診が必要です。
GLP-1受容体作動薬には、セマグルチド(オゼンピック、ウゴービ、リベルサス)や、GIP/GLP-1の両方に作用するチルゼパチド(マンジャロ、ゼップバウンド)などがあります。いまや2型糖尿病や肥満症の治療で広く使われる薬です。これらの薬は主に「胃が空になる速度をゆっくりにする」「脳の食欲中枢に働きかける」ことで効果を発揮します。この仕組みそのものが、消化器系の副作用が最も多い理由でもあります。
この記事はまとめ(ハブ)ページです。個々の症状については、それぞれ詳しい解説記事へのリンクを用意しています。まずはこのページで全体像 ——「正常な範囲はどこまでか」「何が危険サインか」「いつ受診すべきか」—— をつかんでください。
01
最も多いGLP-1の副作用(消化器症状)
セマグルチドのプラセボ対照試験では、消化器系の副作用が最も多く報告され、用量に比例して増える傾向が明確でした。FDA承認のオゼンピック添付文書によると、5%以上の患者で報告された副作用は、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・便秘です。
添付文書に記載された発現率(プラセボとの比較)は次のとおりです。
吐き気
約15.8%(0.5mg)・20.3%(1mg) vs プラセボ6.1%
嘔吐
約5.0%(0.5mg)・9.2%(1mg) vs プラセボ2.3%
下痢
約8.5%(0.5mg)・8.8%(1mg) vs プラセボ1.9%
重要なのは、吐き気・嘔吐・下痢の多くが「増量期」に起きたと添付文書が明記している点です。つまり用量を段階的に上げていく時期に出やすいということです。チルゼパチドでも傾向は同様で、製薬企業・臨床データによると、吐き気はマンジャロ(糖尿病)で最大約18%、ゼップバウンド(肥満症)で最大約**29%**の人に報告されており、げっぷ・胸やけ・ガス(おなら)なども見られます。
吐き気
最も多い訴えが吐き気です。服用または増量後の1〜3日目にピークを迎え、その後落ち着くのが典型的です。多くの医療機関がすすめる対処法は、少量をこまめに食べる、ゆっくり食べ、満腹を感じ始めたらやめる、脂っこくないあっさりした食事を選ぶ、水分は食事中ではなく食間にこまめにとる、などです。吐き気がつらい場合、増量のタイミングに合わせて短期間の制吐薬(オンダンセトロンなど)が処方されることもあります。※詳しくはGLP-1の吐き気対策ガイドへ。
嘔吐・下痢
嘔吐や下痢は吐き気ほど多くありませんが、脱水という別の問題を招くことがあります。GLP-1は食欲だけでなく喉の渇きも抑えることがあるため、水分摂取が不足しがちです。水分を保てないほどの嘔吐・下痢が続く場合は主治医に連絡してください。脱水はまれに急性腎障害の引き金になることがあるためです(後述)。
便秘
便秘も多く、腸の動きがゆっくりになることが原因です。通常は食物繊維・十分な水分・適度な運動で改善します。ただし、強い腹痛・膨満・嘔吐を伴う頑固な便秘は、腸閉塞のサインの可能性があり、受診が必要です。※詳しくはGLP-1の便秘対策へ。
その他のよくある症状
げっぷ・胸やけ・ガス・倦怠感・頭痛・めまい・注射部位反応(注射した場所の赤みやかゆみ)なども報告されています。抜け毛が気になるという声もありますが、これは薬の直接作用というより急激な体重減少に伴うものと考えられており、多くは一時的です。
02
GLP-1の副作用はいつまで続く?
多くの人にとって、よくある消化器副作用は一時的です。吐き気などの症状は、服用開始後や各増量後に体が慣れるにつれ、おおむね2〜4週間で改善することが多いとされています。副作用は用量の変更時に集中して現れるため、ゆっくり段階的に増量することが、副作用を抑える最も効果的な方法です。製薬企業が数週間かけた漸増スケジュールを設定しているのはこのためです。
4週間経っても副作用が強い場合や、意図より速く体重が減っている場合は、主治医に相談する合図です。医師が同じ用量のまま様子を見たり、減量したりすることがあります。自己判断で用量を変えないでください。

03
GLP-1の重大な副作用と警告
以下は頻度は低いものの重要な副作用です。GLP-1薬が処方薬であり、医師の管理下で使う必要がある理由でもあります。
膵炎(すい臓の炎症)
FDA添付文書は、臨床試験で急性膵炎が報告されたと警告しています。典型的なサインは、強く持続する腹痛(多くは上腹部で、背中に広がることもある)で、嘔吐を伴う場合と伴わない場合があります。製薬企業の案内は明確で、この症状が出たら薬を中止して速やかに受診するよう求めています。膵炎と確定した場合、原則として再開しません。
胆のう障害・胆石
添付文書は、**胆石(胆石症)**を含む胆のう疾患を警告しており、手術が必要になる場合もあります。FDAは、急性胆のう疾患の発現率が、体重減少の程度を考慮してもプラセボよりセマグルチドで高かったと述べています。危険サインは、右上腹部の痛み、発熱、皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)、白っぽい便などです。
胃排出遅延・胃不全麻痺(胃まひ)
GLP-1薬は仕組み上、胃が空になるのを遅らせますが、これが強く出て問題になる人もいます。FDAはセマグルチドの添付文書に胃排出遅延を追記し、オゼンピックの添付文書には重度の胃不全麻痺の患者には推奨されないと記載されました。市販後報告では**イレウス(腸閉塞)も挙げられています。関連して、食べ物が胃に残ることによる麻酔中の誤嚥(肺への吸い込み)**というまれなリスクも指摘されており、手術や鎮静を伴う処置の前に、医療者からGLP-1使用の有無を尋ねられることがあります。予定された麻酔・処置の前には、必ずGLP-1を使っていることを伝えてください。
枠組み警告(Boxed Warning):甲状腺C細胞腫瘍
セマグルチド(オゼンピック、ウゴービ)もチルゼパチドも、FDAで最も強い枠組み警告(Boxed Warning)として甲状腺C細胞腫瘍が付いています。これは、薬を生涯にわたり投与したげっ歯類(ラット等)の試験結果に基づくものです。このリスクがヒトにも当てはまるかは分かっていません。このため、**甲状腺髄様がん(MTC)**の本人歴・家族歴がある人や、多発性内分泌腫瘍症2型(MEN 2)の人には禁忌です。首のしこり、飲み込みにくさ、息切れ、続く声のかすれなどの症状は主治医に報告してください。
低血糖
GLP-1薬単独では低血糖のリスクは低いですが、インスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)と併用すると大きく上がります。これらを使っている場合、医師がそれらの用量を調整することがあります。ふるえ・発汗・混乱・動悸・めまいなどの症状を知っておきましょう。
急性腎障害
強い嘔吐・下痢・脱水が原因で、まれに急性腎障害が起きたり、既存の腎疾患が悪化したりすることがあります。水分をしっかりとり、消化器症状が続くときは早めに相談することで予防につながります。
その他の記載されたリスク
添付文書には、過敏症・アレルギー反応、(2型糖尿病の人での)糖尿病網膜症の悪化(推奨される眼科検査を受けること)、心拍数のわずかな増加なども記載されています。
「自殺念慮」についての補足
当初、自殺念慮との関連を疑う報告がありました。しかし正式な調査の結果、米国FDA(2024年)および欧州医薬品庁のPRAC(2024年4月)は、GLP-1受容体作動薬と自殺・自傷の念慮との間に因果関係を支持する証拠はないと結論づけ、FDAはその後この警告の削除を求めました。ただし、気分の新たな変化や悪化があれば主治医に連絡してください。
04
受診の目安:GLP-1の危険サイン一覧
この表はあくまで目安であり、専門家の判断に代わるものではありません。迷ったら主治医または救急に連絡してください。

05
薬ごとに副作用は違う? 比較の概観
GLP-1系の薬は基本的な副作用の傾向が共通していますが、程度や添付文書の記載には違いがあります。以下はあくまで概観で、個人差が大きい点にご注意ください。
| 薬(有効成分) | 主な用途 | よくある副作用 | 枠組み警告 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| オゼンピック(セマグルチド 注射) | 2型糖尿病 | 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・便秘 | 甲状腺C細胞腫瘍 | 増量期に消化器症状がピーク |
| ウゴービ(セマグルチド 注射) | 肥満症・心血管リスク低減 | 同様の消化器症状+胆のう関連 | 甲状腺C細胞腫瘍 | オゼンピックより目標用量が高い |
| リベルサス(経口セマグルチド) | 2型糖尿病 | 吐き気・下痢・腹痛 | 甲状腺C細胞腫瘍 | 添付文書に従い空腹時に服用 |
| マンジャロ(チルゼパチド) | 2型糖尿病 | 吐き気(最大約18%)・下痢・食欲低下・嘔吐 | 甲状腺C細胞腫瘍 | GIP/GLP-1の二重作用 |
| ゼップバウンド(チルゼパチド) | 肥満症・睡眠時無呼吸 | 吐き気(最大約29%)・下痢・便秘・げっぷ | 甲状腺C細胞腫瘍 | マンジャロと同一成分 |
チルゼパチドは高用量(体重減少目的)で消化器症状がやや多いという報告もありますが、実際の忍容性は人や用量で大きく異なります。副作用を最もよく左右するのは「どの銘柄か」ではなく、どれだけ速く増量するかです。※詳しくはオゼンピック・ウゴービ・ゼップバウンドの比較へ。
06
副作用を減らす実践的な工夫
- 1
ゆっくり進める。
漸増スケジュールを守り、増量を急がない。
- 2
少量・こまめ・脂質控えめの食事にし、満腹を感じ始めたらやめる。
- 3
水分補給。
一日を通して少しずつ飲む(嘔吐・下痢があるときは特に)。
- 4
脂っこい・揚げ物・甘すぎる・加工の多い食品を控える。
吐き気を悪化させやすい。
- 5
体を動かし、食物繊維をとる。
便秘対策に。
- 6
症状を記録する。
主治医とパターンを把握し、服用タイミングを検討できる。
- 7
必要なら増量時の制吐薬について相談する。
- 8
危険サインは我慢せず、すぐ報告する。
副作用は特定の日や用量に集中して出るため、「いつ・何を感じたか」「いつ服用したか」「何を食べたか」を簡単に記録しておくと、診察での相談がずっと有意義になります。まさにこの記録を手軽にするために作られたのがHavitアプリです。GLP-1の服用・食事・その日の体調を記録し、自分自身のパターンを時系列で確認できるので、次の受診に「実際のデータ」を持って行けます。※Havitは記録のためのツールであり医療機器ではありません。常に主治医の指示を優先してください。
07
よくある質問(FAQ)
1. GLP-1で最も多い副作用は? 消化器症状です(吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛)。FDAのオゼンピック添付文書では、吐き気は約16〜20%の患者に見られ(プラセボは約6%)、消化器症状の多くは増量期に起きました。
2. GLP-1の副作用はいつまで続く? 多くは一時的で、服用開始後や各増量後に体が慣れるにつれ、おおむね2〜4週間で和らぐことが多いです。ゆっくり増量することで、強さも持続期間も抑えられます。
3. 注意すべき重い副作用は? 膵炎(強く持続する腹痛)、胆のう疾患・胆石、重度の胃排出遅延や腸閉塞、脱水による急性腎障害、低血糖(特にインスリンやSU薬併用時)、重いアレルギー反応です。これらは速やかな受診が必要です。
4. オゼンピック・ウゴービ・ゼップバウンドで副作用は違う? 同じ経路に作用するため、基本的な副作用の傾向は共通です。違いは主に程度と目標用量です。体重減少用の高用量(ウゴービ、ゼップバウンド)は消化器症状がやや多いことがあります。いずれも甲状腺C細胞腫瘍の枠組み警告があります。
5. なぜGLP-1で吐き気が出るの? 胃が空になるのを遅らせ、脳の食欲中枢に働きかけるため、食べ物が胃に長くとどまり満腹シグナルが強まります。特に開始直後や服用直後に、吐き気として感じられることがあります。
6. GLP-1で抜け毛は起きる? 抜け毛を訴える人もいますが、薬の直接作用というより急激な体重減少に伴うもので、多くは一時的です。十分なたんぱく質と栄養が助けになります。
7. 手術のとき、GLP-1を使っていると伝えるべき? はい。胃排出が遅れるため、麻酔中に誤嚥するまれなリスクがあります。手術や鎮静を伴う処置の前に、必ず医療チームへ伝え、タイミングの指示を受けてください。
8. GLP-1で本当に自殺リスクがある? 2024年の正式な調査で、FDAと欧州医薬品庁はいずれも因果関係を支持する証拠はないと結論づけ、FDAはこの警告の削除を求めました。ただし、気分の新たな変化や悪化があれば主治医に報告してください。
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なぜHAVITなのか — 薬の管理と行動変容をひとつに
GLP-1薬は体重をしっかり減らしてくれます。ただ、体重計の数字だけがすべてではありません。GLP-1で減った体重のおよそ20〜40%は、脂肪ではなく筋肉などの除脂肪量である可能性があり(Neeland他, Diabetes, Obesity and Metabolism, 2024)、薬をやめた後に習慣が根づいていなければ、効果は戻りやすいこともわかっています。だからこそ主要なガイドラインは、薬を治療の「すべて」ではなく「一部」と位置づけます。米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、肥満のある成人に集中的で多面的な行動介入を提供するよう推奨しています(USPSTF, グレードB)。
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参考文献(References)
- FDA — OZEMPIC(セマグルチド)添付文書. https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2023/209637s020s021lbl.pdf
- FDA — WEGOVY(セマグルチド)添付文書. https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2024/215256s011lbl.pdf
- FDA — ZEPBOUND(チルゼパチド)添付文書. https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2026/217806s042lbl.pdf
- Ozempic.com(Novo Nordisk)— Possible Side Effects of Ozempic. https://www.ozempic.com/ozempic-pen/side-effects.html
- Wegovy.com(Novo Nordisk)— Wegovy Side Effects. https://www.wegovy.com/taking-wegovy/side-effects.html
- Mayo Clinic — Tirzepatide (subcutaneous route): side effects & dosage. https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/tirzepatide-subcutaneous-route/description/drg-20534045
- GoodRx — 18 Possible Side Effects of Tirzepatide (Mounjaro, Zepbound). https://www.goodrx.com/mounjaro/common-side-effects
- Pharmacy Times — FDA Adds Delayed Gastric Emptying as Adverse Event on Semaglutide Label. https://www.pharmacytimes.com/view/fda-adds-delayed-gastric-emptying-as-adverse-event-on-semaglutide-label
- FDA — Requests Removal of Suicidal Behavior and Ideation Warning from GLP-1 RA Medications. https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-communications/fda-requests-removal-suicidal-behavior-and-ideation-warning-glucagon-peptide-1-receptor-agonist-glp
- European Medicines Agency — PRAC meeting highlights, 8–11 April 2024(GLP-1と自殺念慮のレビュー). https://www.ema.europa.eu/en/news/meeting-highlights-pharmacovigilance-risk-assessment-committee-prac-8-11-april-2024
上記の医療情報は、2026年半ば時点で引用元のFDA添付文書・製薬企業資料・主要医療機関の情報に照らして確認しています。添付文書は随時更新されるため、最新の詳細は主治医および公式の添付文書でご確認ください。
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関連記事
受診の目安:GLP-1の危険サイン一覧
| 症状・危険サイン | 疑われること | 対応 |
|---|---|---|
| 強く持続する腹痛(背中に広がることも)、嘔吐の有無を問わず | 膵炎 | 薬を中止し、速やかに受診 |
| 右上腹部の痛み・発熱・黄疸・白っぽい便 | 胆のう疾患・胆石 | 早めに主治医へ連絡 |
| 嘔吐・下痢が続く/水分がとれない/尿が少ない・めまい | 脱水 → 急性腎障害のおそれ | 主治医に連絡、重い場合は受診 |
| 強い腹痛・膨満・嘔吐を伴う頑固な便秘 | 腸閉塞・イレウスの可能性 | 医療機関で評価を |
| 首のしこり・飲み込みにくさ・声のかすれ・息切れ | 甲状腺の警告サイン | 主治医へ連絡 |
| ふるえ・発汗・混乱・動悸(特にインスリン/SU薬併用時) | 低血糖 | 低血糖の対処をし、主治医に連絡 |
| 発疹・顔や唇・喉の腫れ・呼吸困難 | 重いアレルギー反応 | 救急要請(119番) |
| 気分の落ち込みや自傷念慮の出現・悪化 | 気分の変化 | 主治医・相談窓口へ連絡 |
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